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CANDY(キャンディ)  1969年

CANDY(キャンディ)

[監督] クリスチャン・マルカン
[出演] エヴァ・オーリン , マーロン・ブランド , リチャード・バートン , リンゴ・スター , ウォルター・マッソー , ジェームズ・コバーン

何十年も前にTV放映で1回か2回観ただけでしたが心に強く残った映画で、この度DVDをレンタルするにあたり絶対に外せない作品の1つでした。
そうは言っても時の経過と共に映画の題名もエヴァ・オーリンの名前さえも失念し、途切れ途切れのストーリーと
彼女の愛らしい容姿だけが記憶に残っていました。闇雲にストーカーの如く検索する日々が続きましたが、
ふっと、リチャード・バートンとリンゴ・スターが出演していたのを思い出し、そこから辿り着いた次第です…苦労しました。

エヴァ・オーリン、スウェーデン出身。可愛いですよね、大きな瞳と何気無いしぐさに‘青い女の性’を強く感じてしまいます。
髪はブロンドで肌はひたすら白く、甘ったるい声もキュート、ボディもキュート、ファッションもキュート、プリプリのプリティな女性で文句無しです。
まさに‘オジ様殺し’っていうタイプの匂いがする女性です…当時、私は若かったですけど。
ルックスは今でも充分通用するので、もし仮にタイムマシンが存在し、あの日のエヴァが2006年の今に現れたとしても、
トップクラスの女優として通用すると思います。

この映画は簡単に言えば、可愛らしいけど天然の女子高生キャンディが何処に行っても次から次へとリチャード・バートン以下‘胡散臭いオジ様たち’に
狙われ拒むこと無く自分を捧げてしまう(未遂もあるが)という展開ですが、そのストーリーは支離滅裂でコメディータッチの
エロティックな「おバカ映画」であります。
リンゴ・スターもジェームズ・コバーンも「おぃおぃ、おまえさんたち、こんなくだらない映画に出て、バカやってんじゃないよ」って感じで
豪華絢爛な男性俳優陣のヘンタイじみた発情ぶりが見ものです。蛇足ですが最後のお相手、妖しいヨガの伝道師はマーロン・ブランド。

格調高い私が紹介する映画ですから男性諸氏が期待するような露骨な性描写はありませんが、一度御覧になればエヴァ・オーリンの
可愛い姿態に涎を垂らすのみならず三日三晩妄想に悶え喘ぐのは必定です…特にオジ様族は。
私も何十年ぶりにキャンディを観て、幽体離脱して行方不明になっていた‘男の性’が僅かな時間でしたが生還した次第です。

「CANDY(キャンディ)」を表面的に紹介すれは上記のようにエロティックなコメディーの「おバカ映画」と言う他ないのですが、
実はこの映画は凄いテーマが隠されています。
率直に言ってしまえば「LOVE, DEVOTION & SURRENDER」と「携挙(けいきょ)」という宗教的な観念が根底にあります。
「おまえ、そんな難しい言葉を よく知っているな」と、皆さんは思うと存じます。

はぃ、知っていました。  「LOVE, DEVOTION, SURRENDER」はサンタナに教えてもらいました。
「携挙(けいきょ)」はNON BOOK「ノストラダムスの大予言Ⅴ・五島勉著」に書いてあったのを憶えていました(笑)。
キャンディを紹介するのに、こんな言葉が出てくるのは、おそらく私のコラムだけかもしれませんので貴重だと思います  ふふ。

当時は、大雑把に言ってしまうと宗教的観念を形成するLOVE(愛)DEVOTION(献身)SURRENDER(服従)と言う崇高な言葉が、
刹那的・退廃的・享楽的な意味での‘ピース’‘愛こそすべて’とか安直な言葉で表現され、そしてSEXが堕落し、カルトにも利用されていました。
人間世界で悪魔が面の皮を厚く大っぴらに‘愛を唱える’ようになったのは、この時代…つまりベトナム戦争(1960年~1975年)辺りから
ではないでしょうか。悪魔は大衆を狙っています。ちなみに、大衆に浸透し易いロックミュージックにおいてもその影響が顕著で、例えば
イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」は悪魔崇拝の歌であると、オカルトを少しでも齧っていれば容易に理解可能であります。

さて、キャンディの天然おバカは‘純粋・無垢’を表現しています。拒まず抱かれる事は‘愛・献身’を意味し、己を無条件で
捧げる事を表現しています。そして映画ではオープニングシーンとラストシーンでは意味深な映像を私たちに見せてくれます。
オープニングでは白いモヤモヤしたもの(スピリット)が漂う場面をオリオン座の馬頭暗黒星雲等の画像で宇宙空間を漂っている事を
表現しています。そして、その白いモヤモヤの物体が地球の大地に降臨すると一枚の大きな白い布に包まれたキャンディが現れます。
その着衣もまた白く、彼女が純粋で無垢なる者として表現されています。

ラストシーンはサイケデリックな表現を意識しています。純白の衣装を着たキャンディが、広い野原で異なる色の旗のもとに、
それぞれ集合している人々の間を歩き、通り過ぎて行きます。するとどうだろう、彼女の白い衣装には鮮やかな色が着いていきます。
そして彼女は白いモヤモヤ(スピリット)になって天に上がっていきます(これを携挙と言います)。
当時のカルチャーであった東洋西洋混在した宗教観・ヒッピー・サイケデリック・フリーセックス等等が色濃く反映された映画であります。

以前から「バーバレラ」と「キャンディ」に同じ匂いを感じていました。この場合の‘匂い’という言葉は‘センス’と解釈しても良いです。
あぁ、なるほど、原作者は「イージー・ライダー」「バーバレラ」を脚本したテリー・サザーンだと知りました、タダ者じゃなかったですね、この人は。

  • 2006年08月08日(火)21時23分

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