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空軍大戦略(BATTLE OF BRITAIN)  1969年 イギリス

空軍大戦略

[監督] ガイ・ハミルトン
[出演] ローレンス・オリヴィエ , マイケル・ケイン , ロバート・ショウ , トレヴァー・ハワード

第二次世界大戦で活躍したスピットファイア、ホーカー・ハリケーン、メッサーシュミットBf109、ハインケルHe111等が盛り沢山、大空を乱舞します。
製作年度は古いですが、現在ではCGで誤魔化す事でしか作れない作品だと思いますので航空機ファンならずとも必見の映画です。
私もマニアではありませんが以前から興味を持っていた映画でした。「ツタヤ」「ぽすれん」ともに在庫が少量なのか、借り難いタイトルの1つです。

[物語の歴史的背景]
1940年6月、ドイツ軍の電撃作戦(フランス侵攻作戦)により、35万人の英・仏連合軍がダンケルクから英仏海峡(大西洋)に蹴落とされた。
(実際にはヒトラーが最後の総攻撃を躊躇した為に、その間隙を突く脱出作戦が成功、これをダンケルクの奇跡と言われるようになる)
たった6週間でフランスはドイツに平伏したのだ(その直後、亡命したシャルル・ド・ゴールが自由フランスをイギリス本土に樹立する)。
消耗著しいイギリスを攻めるには絶好の機会に当初ヒトラーは(幻想にすぎない)政治的展望から講和を求め、ダンケルクの場合と同様に
短い時間だが、貴重な時間を失う事になった。
それに対しイギリスの宰相チャーチルは講和を拒否し、ヒトラーはゼーレーヴェ作戦(日本語で「あしか作戦」)を7月に発動した。
イギリス本土侵攻作戦が始まったのだ。この映画は祖国の存亡をかけ、劣勢を撥ね返しドイツ空軍を撃退したイギリス空軍のお話しです。

[ストーリー]
空軍力に勝ると思われていたドイツ軍は緒戦こそ優位を保ったが、空軍思想の致命的欠点が露見していった。
メッサーシュミッBf109は優れた局地戦闘機だが航続距離が著しく短く、飛来したイギリス上空での戦闘時間が僅かしかない、
そして‘戦略爆撃’という発想が皆無だった空軍の主力機、ハインケルHe111は航続距離が短い戦術高速軽爆撃機で
爆弾搭載能力も低く、強力な火気を備えるイギリス軍機の前には脆弱だった。
ノルウェーから出撃した爆撃機編隊は悲惨、航続距離が短い戦闘機隊が随行できず、その結果護衛も無く多くのベテランが
イギリス軍機の餌食になってしまった。一方、本土を防衛するイギリス軍の損害も甚大で、両者は際限の無い消耗戦に突入していく。

ドイツが苦戦を強いられている原因はイギリス軍のレーダーを使った効率良い迎撃体制にもあったのだが、ロンドン誤爆を発端に
イギリス軍の報復ベルリン夜間爆撃に業を煮やしたヒトラーは英国大衆の戦意喪失を狙い都市爆撃に重点を移した結果、
軍事施設、軍需工場、戦闘機隊の回復をもたらし、イギリスが息を吹き返す事につながった。

そして深刻なパイロット不足は大英帝国構成国、各国亡命者、友好国からの義勇兵等の意気盛んな外国人パイロットたちが補った。
イギリス軍とは逆にドイツ軍は多大な損害の補充もままならず兵站も痩せ細っていくばかりでついに作戦の中止を決定し、
ヒトラーはナポレオンと同じようにドーバー海峡を制圧できないまま作戦は頓挫した。

[スピットファイア]イギリス軍機
ロールスロイス製エンジンを搭載。局地戦用(本土防衛用)として開発され流麗なデザインの機体でイギリスを救った名機として有名、
戦後も各国で使用された。女性的なフォルムの綺麗な機体デザインですが、私はあまり好みではありません。

[ホーカー・ハリケーン]イギリス軍機
バトル・オブ・ブリテンの頃は既にメッサーシュミッBf109には歯が立たなくなっていたので、もっぱら対爆撃機攻撃用として使用された。

[メッサーシュミットBf109]ドイツ軍機
ダイムラー・ベンツ製エンジン搭載。局地戦用戦闘機として開発され、このような長い距離を飛んで戦う侵攻作戦には向いていなかった。
ちなみに、この映画で使用されたメッサーシュミッBf109は搭載エンジンを換装してあるスペイン軍で使われていた機体を使用したと見聞しています、
間違っていたらごめんなさい。機体デザインは工場で作り易くする為に直線的なフォルムでした。
ドイツ軍の戦闘機ではフォッケウルフFw190とTa152が最優秀であると思っていますが、ゼロ戦(零戦)より若干コンパクトな機体で高性能な
メッサーシュミットBf109の総生産機数は約30,000機で戦闘機史上最多といわれています。

[ハインケルHe111]ドイツ軍機
ヴェルサイユ条約の規制の為に名目上12人乗りの旅客機として開発されたが、スペイン内戦で爆撃機として使用されたのが最初。
ドイツ空軍の「爆撃機の高速化」思想に基づいた設計だったが戦闘機の進歩が著しくこの戦いの時には既にアドバンテージは失われていた。
戦術高速軽爆撃機で航続距離が短い。爆弾搭載量が少なく、また防御力が低かった為に、多数の損害を被った。

.......[おまけ]傑作機
「第二次世界大戦中に実戦で使われた航空機で傑作機を一機だけ選べ」と問われれば、この映画には登場しませんが、私は迷わず
イギリスの‘デ・ハビランド モスキート(De HAVILLAND MOSQUITO)’に1票を投じます。

これは単発エンジンの戦闘機ではなくて、ロールスロイス製エンジンのマーリンを2基搭載する双発の戦闘爆撃機ですが、
高速偵察機・夜間戦闘機・多種多様に使用されました。見るからに惚れ惚れする均整の取れた機体デザインは優雅なラインを描いています。
全木製に限りなく近い構造は他国、他社にはマネができない独創性に富み、イギリスの頑固な職人気質が誇らしげに空を翔けます。

木製だからといってヤワな飛行機ではなく、メッサーシュミットが追いかけてきても振り切って逃げてしまう高速性能を有しています。
そして、俊敏性を生かして極低高度、高高度からの侵入作戦、それから今で言うピンポイント爆撃にも威力を発揮しました。
戦中の機体損失率は他の機種よりも微少だったらしいです。
モスキート関連の作品では「633爆撃隊」、そのリメイク版の「モスキート爆撃隊(レンタルDVD無し)」があります。当然、見たことがあります。

  • 2006年10月01日(日)00時00分

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