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11、魅惑のデュアル-ブランチ可変エキゾースト・システム

ファイル 292-1.jpg「TTと同じエンジンとDSGですから試乗してみて下さい」と言われて今年の1月に試乗したA3 3.2クワトロが‘情念に直接訴え掛けてくる’クルマだったとは、正直な話、初めて知った。ドライバーズシートに身を委ねると、そこは硬派の匂い漂うスポーツな世界、そしてDSGのシフトレバーをSレンジに入れて走り出せばコンパクトなボディーの何処からこんなにパワフルで心地良いトルキーなサウンドが出てくるのかと、驚きを隠しきれませんでした。

「オレは何のスポーツカーに乗っているんだ?」と自身を見失い、車から降りて今自分が運転していたクルマを眺めれば、紛れも無くA3の皮を被った3.2クワトロだった。試乗した時間は高だか1時間程度に過ぎないが、車格と言うくだらない区分を超越した魅力を持つクルマだという事を充分理解しました。A3 3.2もTT 3.2よりは控え目だがサウンド(エキゾースト・ノート)チューンが施されているという話で聴覚的にもスポーティーな雰囲気を醸し出しています。

それならばTTはもっとサウンドの演出が巧みではないかと、さらにTTへの憧れを強く抱くのは当然の成り行きで、実際に乗ってみれば案の定、DSGと絶妙なコンビネーションが齎すAudi流官能の世界が広がっていた。

イグニッションキーをひねると250psのV型6気筒 3.2リッターエンジンが弾けるように目覚める‘ブワォン!ドゥルドゥルドゥルドゥル・・・’、始動直後は吼える様なエキゾーストノートが辺りに響き存在感をひとしきり誇示するが、徐々に落ち着きを取り戻していく。発進時のサウンドも結構元気ハツラツで、一旦停止の標識が多い細い道でゴー・ストップを繰り返していると、助手席に座ったカミさんが勘違いして「後ろから来る車、やかましいね」と言う程だ。

我が家は鉄骨作り、外壁は55mm(あれ?70mmだったかな?)のALCで被われて2階から居住空間なのだが、TTが帰って来るのが音で判るとカミさんは言う、「ったく、うるさい車だね!」・・・彼女は昔からサウンドと騒音の区別がつかない音痴なのだ。

走行中、アクセルを強めに踏み込むと、抑制された、それでいて凄味のある押し殺した低音域のサウンドが‘ギューーン’とか‘ヒューーン’とか聞える金属的なサブサウンドとミキシングされて、心地良いエキゾーストノートを奏でる。減速時は圧巻、‘ブゥォン!!ブォォゥン~~’と、ブリッピング(エンジンの回転数を合わせる事)をしてくれてシフトダウンが完了する。

サウンド・・・先日のドライブで国道52号線相又峡トンネルを通った際にTTの為にコンサートを催した。シフトレバーはSレンジ、スピードを一定に保ってトンネルに突入する、アクセルペダルを踏んでいる足の力を緩め、そして軽くブレーキング、そうすると‘ブゥォン!!’と一声吼えてブリッピング、‘ブォォゥン~~’でギヤが1段落ちてエンブレが効く、二呼吸おいてからアクセルを強めに踏むと間髪入れずに‘ブォォオ~~~ン!’と、胸のすく怒涛の加速と共に心地良いサウンドがトンネル内に響き渡る・・・ゴルフⅡの時は窓を開けてやったが、今回のTTは窓を開けなくても私には充分過ぎる。

A.J(アウディジャパン)では「デュアル-ブランチ可変エキゾースト・システムが奏でるサウンドは、Audi TT Coup・3.2quattroのスポーティなキャラクターを表現しています。エンジンスピードによってエキゾースト・システム内のフラップが開閉、それに応じてサウンドも微妙に変化します。そのクリアなサウンドは、高回転域でさえも過剰な印象とは無縁です。あくまでもスポーティに徹するエキゾースト・ノートは、スポーツマインド溢れるTTにふさわしい音色によって構成されています」とコメントされている。

  • 2006年05月28日(日)11時03分

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